[通知]第1 救命救急入院料

第1 救命救急入院料

1 救命救急入院料1に関する施設基準

(1) 専任の医師が、午前0時より午後12時までの間常に(以下「常時」という。)救命救急治療室内に勤務しているとともに、手術に必要な麻酔科医等が緊急時に速やかに対応できる体制がとられていること。ただし、患者の当該治療室への入退室などに際して、看護師と連携をとって当該治療室内の患者の治療に支障がない体制を確保している場合は、一時的に当該治療室から離れても差し支えない。
(2) 重篤な救急患者に対する手術等の診療体制に必要な看護師が常時治療室内に勤務していること。
(3) 重篤な救急患者に対する医療を行うのに必要な次に掲げる装置及び器具を治療室内に常時備え付けていること。ただし、ウからカまでについては、当該保険医療機関内に備え、必要な際に迅速に使用でき、緊急の事態に十分対応できる場合においては、この限りではない。
ア 救急蘇生装置(気管内挿管セット、人工呼吸装置等)
イ 除細動器
ウ ペースメーカー
エ 心電計
オ ポータブルエックス線撮影装置
カ 呼吸循環監視装置
(4) 自家発電装置を有している病院であって、当該病院において電解質定量検査及び血液ガス分析を含む必要な検査が常時実施できること。なお、当該治療室以外の病床を有しない病院は、一般病棟入院基本料の届出も同時に行うこと。
(5) 当該治療室勤務の医師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での当直勤務を併せて行わないものとし、当該治療室勤務の看護師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での夜勤を併せて行わないものとすること。
(6) 当該入院料を算定するものとして届け出ている治療室に入院している全ての患者の状態を、別添6の別紙18 の「ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票」を用いて測定し評価すること。ただし、短期滞在手術等基本料を算定する患者、基本診療料の施設基準等の別表第二の二十三に該当する患者(基本診療料の施設基準等第十の三に係る要件以外の短期滞在手術等基本料3に係る要件を満たす場合に限る。)及び基本診療料の施設基準等の別表第二の二十四に該当する患者は対象から除外する。
(7) ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票の記入は、院内研修を受けたものが行うものであること。

2 救命救急入院料2に関する施設基準

救命救急入院料1の(1)から(5)までの施設基準を満たすほか、特定集中治療室管理料1又は3の施設基準を満たすものであること。

3 救命救急入院料3に関する施設基準

(1) 救命救急入院料1の施設基準を満たすほか、広範囲熱傷特定集中治療管理を行うにふさわしい治療室を有しており、当該治療室の広さは、内法による測定で、1床当たり15平方メートル以上であること。また、平成26年3月31日において、現に当該入院料の届出を行っている保険医療機関については、当該治療室の増築又は全面的な改築を行うまでの間は、当該規定を満たしているものとする。
(2) 当該保険医療機関に広範囲熱傷特定集中治療を担当する常勤の医師が勤務していること。

4 救命救急入院料4に関する施設基準

(1) 救命救急入院料2の施設基準を満たすほか、広範囲熱傷特定集中治療管理を行うにふさわしい治療室を有しており、当該治療室の広さは、内法による測定で、1床当たり15平方メートル以上であること。また、平成26年3月31日において、現に当該入院料の届出を行っている保険医療機関については、当該治療室の増築又は全面的な改築を行うまでの間は、当該規定を満たしているものとする。
(2) 当該保険医療機関に広範囲熱傷特定集中治療を担当する常勤の医師が勤務していること。

5 救命救急入院料の「注1」に掲げる算定上限日数に係る施設基準

(1) 当該治療室において、「注8」に掲げる早期離床・リハビリテーション加算又は「注9」に掲げる早期栄養介入管理加算の届出を行っていること。
(2) 当該治療室に入院する患者について、関連学会と連携の上、適切な管理等を行っていること。

6 救命救急入院料の「注2」に規定する精神疾患診断治療初回加算の「イ」に関する施設基準

(1) 自殺企図等により入院となった患者に対する生活上の課題等について指導等を行うための適切な研修を修了した専任の常勤医師が1名以上配置されていること。なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師(自殺企図等により入院となった患者に対する生活上の課題等について指導等を行うための適切な研修を修了した医師に限る。)を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該基準を満たしていることとみなすことができる。
(2) 自殺企図等により入院となった患者に対する生活上の課題等について指導等を行うための適切な研修を修了した専任の常勤看護師、専任の常勤作業療法士、専任の常勤精神保健福祉士、専任の常勤公認心理師又は専任の常勤社会福祉士が、1名以上配置されていること。
(3) (1)及び(2)における適切な研修とは、次のものをいうこと。
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であること(16時間以上の研修期間であるもの)。
イ 講義及び演習により次の内容を含むものであること。
(イ) 自殺死亡者及び自殺企図後の患者についての基本的事項
(ロ) 救急搬送された自殺企図後の患者のケースマネジメントの概要
(ハ) 自殺企図のリスク因子と防御因子について
(ニ) 自殺企図後の患者とのコミュニケーション技法について
(ホ) 初回ケースマネジメント面接について
(ヘ) 定期ケースマネジメントについて
(ト) ケースマネジメントの終了について
(チ) インシデント対応について
(リ) ポストベンションについて
(ヌ) チーム医療とセルフケアについて
ウ 研修にはグループワークや、救急搬送された自殺企図後の患者のケースマネジメントを
豊富に経験している者による実技指導やロールプレイ等を含むこと。
(4) 平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者を公認心理師とみなす。
ア 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者
イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

7 救命救急入院料の「注3」に掲げる加算の施設基準

(1) 救急体制充実加算1の施設基準
「救命救急センターの新しい充実段階評価について」(平成30年2月16日医政地発0216第1号。以下「新評価基準」という。)の救命救急センターの評価基準に基づく評価が充実段階Sであるものであること。
(2) 救急体制充実加算2の施設基準
新評価基準の救命救急センターの評価基準に基づく評価が充実段階Aであるものであること。
(3) 救急体制充実加算3の施設基準
新評価基準の救命救急センターの評価基準に基づく評価が充実段階Bであるものであること。

8 救命救急入院料の「注4」に掲げる加算の施設基準

「救急医療対策事業実施要綱」第4に規定する高度救命救急センターであること。

9 救命救急入院料の「注6」に掲げる小児加算の施設基準

専任の小児科の医師が常時配置されている保険医療機関であること。

10 救命救急入院料の「注8」に掲げる早期離床・リハビリテーション加算の施設基準

(1) 当該治療室内に、以下から構成される早期離床・リハビリテーションに係るチームが設置されていること。
ア 集中治療に関する5年以上の経験を有する専任の医師
イ 集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を5年以上有し、集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師
ウ 急性期医療を提供する保険医療機関において5年以上従事した経験を有する専任の常勤理学療法士、専任の常勤作業療法士又は専任の常勤言語聴覚士
(2) 当該保険医療機関内に区分番号「A300」救命救急入院料、区分番号「A301」特定集中治療室管理料、区分番号「A301-2」ハイケアユニット入院医療管理料又は区分番号「A301-3」脳卒中ケアユニット入院医療管理料を届け出た病棟(以下「特定集中治療室等」という。)が複数設置されている場合、(1)に規定するチームが複数の特定集中治療室等の早期離床・リハビリテーションに係るチームを兼ねることは差し支えない。
(3) (1)のアに掲げる専任の医師は、特定集中治療室等に配置される医師が兼ねることは差し支えない。また、特定集中治療室等を複数設置している保険医療機関にあっては、当該専任の医師が配置される特定集中治療室等の患者の治療に支障がない体制を確保している場合は、別の特定集中治療室等の患者に対する早期離床・リハビリテーションに係るチームの業務を実施することができる。
(4) (1)のイに掲げる集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修とは、国又は医療関係団体等が主催する600時間以上の研修(修了証が交付されるもの)であり、講義及び演習により集中治療を必要とする患者の看護に必要な専門的な知識及び技術を有する看護師の養成を目的とした研修又は保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号の規定による指定研修機関において行われる集中治療を必要とする患者の看護に係る研修であること。
(5) (1)のイに掲げる専任の常勤看護師は、特定集中治療室管理料1及び2を届け出る治療室に配置される1の(2)の看護師が兼ねることは差し支えない。また、特定集中治療室等を複数設置している保険医療機関にあっては、当該看護師が配置される特定集中治療室等の患者の看護に支障がない体制を確保している場合は、別の特定集中治療室等の患者に対する早期離床・リハビリテーションに係るチームの業務を実施することができる。
(6) (1)のウに掲げる専任の常勤理学療法士、専任の常勤作業療法士又は専任の常勤言語聴覚士は特定集中治療室等を有する保険医療機関で5年以上の経験を有すること。ただし、特定集中治療室等を有する保険医療機関での経験が5年に満たない場合は、回復期リハビリテーション病棟に専従で勤務した経験とあわせて5年以上であっても差し支えない。
(7) 救命救急入院料を算定する病室における早期離床・リハビリテーションに関するプロトコルを整備していること。なお、早期離床・リハビリテーションの実施状況等を踏まえ、定期的に当該プロトコルの見直しを行うこと。
(8) 区分番号「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、区分番号「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料又は区分番号「H003」呼吸器リハビリテーション料に係る届出を行っている保険医療機関であること。

9 救命救急入院料の「注9」に掲げる早期栄養介入管理加算の施設基準

(1) 当該治療室に次の要件を満たす管理栄養士が専任で配置されていること。
ア 別添3の第19の1の(3)に規定する研修を修了し、栄養サポートチームにおいて栄養管理に係る3年以上の経験を有すること
イ 集中治療を必要とする患者の栄養管理に係る3年以上の経験を有すること
(2) (1)に掲げる管理栄養士は、以下の知識及び技能を有していることが望ましい。
ア 当該治療室への入室翌日までに入室患者全員の栄養スクリーニングを実施し、重点的な栄養管理を必要とする患者を特定することができること
イ 腸管機能として腸蠕動音、鼓音及び腹部膨満等を確認するとともに、Refeeding Syndrome、Over feedingについてのアセスメント及びモニタリングをすることができること
ウ 栄養管理に係る計画及び治療目的を多職種と共有し、アセスメントによって把握された徴候及び症状を勘案し、可能な限り入院前の日常生活機能等に近づけるよう栄養補給について立案することができること
エ 経腸栄養投与継続が困難と評価した場合は、担当医に報告し、栄養管理に係る計画を再考することができること
オ 経口摂取移行時においては、摂食嚥下機能について確認し、必要に応じて言語聴覚士等との連携を図ることができること
(3) 救命救急入院料を算定する一般病床の治療室における管理栄養士の数は、当該治療室の入院患者の数が10又はその端数を増すごとに1以上であること。
(4) 当該治療室において、早期から栄養管理を実施するため日本集中治療医学会の「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン」を参考にして院内において栄養管理に係る手順書を作成し、それに従って必要な措置が実施されていること。また、栄養アセスメントに基づく計画を対象患者全例について作成し、必要な栄養管理を行っていること。
(5) 早期栄養介入管理加算を算定した患者の数等について、別添7の様式42の5を用いて、地方厚生(支)局長に報告すること。

10 救命救急入院料の「注11」に掲げる重症患者対応体制強化加算の施設基準

(1) 集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を5年以上有し、集中治療を必要とする患者の看護に関する適切な研修を修了した専従の常勤看護師(以下この項において「常勤看護師」という。)が当該治療室内に1名以上配置されていること。なお、ここでいう「適切な研修」とは、国又は医療関係団体等が主催する600時間以上の研修(修了証が交付されるものに限る。)であり、講義及び演習により集中治療を必要とする患者の看護に必要な専門的な知識及び技術を有する看護師の養成を目的とした研修又は保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号に規定する指定研修機関において行われる集中治療を必要とする患者の看護に係る研修であること。
(2) 救命救急入院料2又は4若しくは特定集中治療室管理料に係る届出を行っている保険医療機関において5年以上勤務した経験を有する専従の常勤臨床工学技士が当該治療室内に1名以上配置されていること。
(3) 常勤看護師のほか、集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を3年以上有する看護師が当該治療室内に2名以上配置されていること。
(4) (3)に規定する看護師は、集中治療を必要とする患者の看護に関する以下のいずれかの研修を受講すること。なお、当該研修を既に修了している場合においては、(5)に示す院内研修の講師や、(6)に示す地域の医療機関等が主催する集中治療を必要とする患者の看護に関する研修の講師として参加すること。
ア 国又は医療関係団体等が主催する600時間以上の研修(修了証が交付されるものに限る。)であって、講義及び演習により集中治療を要する患者の看護に必要な専門的な知識及び技術を有する看護師の養成を目的とした研修
イ 保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号に規定する指定研修機関において行われる集中治療を必要とする患者の看護に係る研修
(5) 当該保険医療機関の医師、(3)に規定する看護師又は臨床工学技士により、集中治療を必要とする患者の看護に従事する看護職員を対象とした院内研修を、年1回以上実施すること。なお、院内研修は重症患者への看護実践のために必要な知識・技術の習得とその向上を目的とした研修であり、講義及び演習に、次のいずれの内容も含むものであること。
ア 重症患者の病態生理、全身管理の知識・看護
イ 人工呼吸器又は体外式膜型人工肺(ECMO)を用いた重症患者の看護の実際
(6) (3)に規定する看護師は、地域の医療機関等が主催する集中治療を必要とする患者の看護に関する研修に講師として参加するなど、地域における集中治療の質の向上を目的として、地域の医療機関等と協働することが望ましい。
(7) (3)に規定する看護師の研修の受講状況や(6)に規定する地域活動への参加状況について記録すること。
(8) 新興感染症の発生等の有事の際に、都道府県等の要請に応じて、他の医療機関等の支援を行う看護師が2名以上確保されていること。なお、当該看護師は、(3)に規定する看護師であることが望ましいこと。
(9) 区分番号「A200-2」急性期充実体制加算及び区分番号「A234-2」感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関であること。ただし、急性期一般入院料1に係る届出を行っている保険医療機関については、区分番号「A200-2」急性期充実体制加算に係る届出を行っていない場合であっても、令和5年3月31日までの間に限り、別添7の様式42の7にその理由及び今後の届出予定を記載することをもって、当該届出を行っているものとみなす。
(10) (3)に規定する看護師は、当該治療室の施設基準に係る看護師の数に含めないこと。
(11) (3)に規定する看護師が当該治療室以外の治療室又は病棟において勤務した場合、勤務した治療室又は病棟の施設基準に係る看護師の数に含めないこと。
(12) 当該治療室に入院している全ての患者の状態を、別添6の別紙17の「特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票」を用いて測定及び評価し、「特殊な治療法等」に該当する患者が1割5分以上であること。なお、該当患者の割合については、暦月で6か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動にあっては、施設基準に係る変更の届出を行う必要はないこと。ただし、短期滞在手術等基本料を算定する患者、基本診療料の施設基準等の別表第二の二十三に該当する患者(基本診療料の施設基準等第十の三に係る要件以外の短期滞在手術等基本料3に係る要件を満たす場合に限る。)及び基本診療料の施設基準等の別表第二の二十四に該当する患者は対象から除外する。

11 届出に関する事項

(1) 救命救急入院料の施設基準に係る届出は、別添7の様式42、様式43を用いること。また、当該治療室の平面図(面積等の分かるもの。)を添付すること。なお、当該治療室に勤務する従事者並びに当該病院に勤務する臨床検査技師、衛生検査技師、診療放射線技師及び診療エックス線技師については、別添7の様式20を用いること。
(2) 令和4年3月31日時点で救命救急入院料の届出を行っている治療室にあっては、令和4年9月30日までの間に限り、令和4年度改定前の「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和2年3月5日保医発0305第2号)の別添6の別紙17の特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票を用いて評価をしても差し支えないこと。
(3) 救命救急入院料の注2のイに係る届出は、別添7の様式42の6を用いること。
(4) 早期離床・リハビリテーション加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式42の3を用いること。
(5) 早期栄養介入管理加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式42の4を用いること。
(6) 重症患者対応体制強化加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式42の7を用いること。

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