第26の6 認知症ケア加算1 認知症ケア加算1の施設基準(1) 当該保険医療機関内に、以下から構成される認知症ケアに係るチーム(以下「認知症ケアチーム」という。)が設置されていること。このうち、イに掲げる看護師については、原則週16時間以上、認知症ケアチームの業務に従事すること。ア 認知症患者の診療について十分な経験を有する専任の常勤医師イ 認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する看護師であって、認知症看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師ウ 認知症患者等の退院調整について経験のある専任の常勤社会福祉士又は常勤精神保健福祉士なお、アからウまでのほか、患者の状態に応じて、理学療法士、作業療法士、薬剤師、管理栄養士が参加することが望ましい。(2) (1)のアに掲げる医師は、精神科の経験を3年以上有する医師、神経内科の経験を3年以上有する医師又は認知症治療に係る適切な研修を修了した医師であること。なお、ここでいう適切な研修とは、国、都道府県又は医療関係団体等が主催する研修であり、認知症診断について適切な知識・技術等を修得することを目的とした研修で、2日間、7時間以上の研修期間で、修了証が交付されるものであること。また、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師(精神科の経験を3年以上有する医師、神経内科の経験を3年以上有する医師又は認知症治療に係る適切な研修を修了した医師に限る。)を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該2名以上の非常勤医師が認知症ケアチームの業務に従事する場合に限り、当該基準を満たしていることとみなすことができる。(3) (1)のイに掲げる認知症看護に係る適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であること(600時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの)。イ 認知症看護に必要な専門的知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。ウ 講義及び演習は、次の内容を含むものであること。(イ) 認知症の原因疾患・病態及び治療・ケア・予防(ロ) 認知症に関わる保健医療福祉制度の変遷と概要(ハ) 認知症患者に特有な倫理的課題と対応方法(ニ) 認知症看護に必要なアセスメントと援助技術(ホ) コミュニケーションスキル(ヘ) 認知症の特性を踏まえた生活・療養環境の調整方法、行動・心理症状(BPSD)への対応(ト) ケアマネジメント(各専門職・他機関との連携、社会資源の活用方法)(チ) 家族への支援・関係調整エ 実習により、事例に基づくアセスメントと認知症看護関連領域に必要な看護実践を含むものであること。(4) (1)のウに掲げる社会福祉士又は精神保健福祉士は、認知症患者又は要介護者の退院調整の経験のある者又は介護支援専門員の資格を有する者であること。(5) 認知症ケアチームは、以下の業務を行うこと。ア 認知症患者のケアに係るカンファレンスが週1回程度開催されており、チームの構成員及び当該患者の入院する病棟の看護師等、必要に応じて当該患者の診療を担う医師などが参加していること。イ チームは、週1回以上、各病棟を巡回し、病棟における認知症患者に対するケアの実施状況の把握や病棟職員への助言等を行うこと。ウ チームにより、身体的拘束の実施基準や鎮静を目的とした薬物の適正使用等の内容を盛り込んだ認知症ケアに関する手順書(マニュアル)を作成し、保険医療機関内に周知し活用すること。なお、認知症ケアの実施状況等を踏まえ、定期的に当該手順書の見直しを行うこと。エ チームにより、認知症患者に関わる職員を対象として、認知症患者のケアに関する研修を定期的に実施すること。(6) 認知症患者に関わる全ての病棟の看護師等は、原則として年に1回、認知症患者のアセスメントや看護方法等について、当該チームによる研修又は院外の研修を受講すること(ただし、既に前年度又は前々年度に研修を受けた看護師等にあってはこの限りではない)。また、原則として、全ての病棟(小児科など身体疾患を有する認知症患者が入院しない病棟及び精神病床は除く。)に、2の(4)に掲げる認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修又は院内研修を受けた看護師を1名以上配置することが望ましい。(7) 当該保険医療機関において、当該チームが組織上明確に位置づけられていること。2 認知症ケア加算2の施設基準(1) 当該保険医療機関に、認知症患者の診療について十分な経験を有する専任の常勤医師又は認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する看護師であって、認知症看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師を配置すること。(2) (1)に掲げる医師については、1の(2)を満たすものであること。また、(1)に掲げる認知症看護に係る適切な研修については、1の(3)の例による。(3) 原則として、全ての病棟(小児科など身体疾患を有する認知症患者が入院しない病棟及び精神病床は除く。)に、認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受けた看護師を3名以上配置すること。(4) (3)に掲げる認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。ただし、(3)に掲げる3名以上の看護師のうち1名については、次の事項に該当する研修を受けた看護師が行う認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る院内研修の受講をもって満たすものとして差し支えない。ア 国、都道府県又は医療関係団体等が主催する研修であること(修了証が交付されるもの)。イ 認知症看護に必要な専門的知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。ウ 講義及び演習は、次の内容について9時間以上含むものであること。(イ) 認知症の原因疾患と病態・治療(ロ) 入院中の認知症患者に対する看護に必要なアセスメントと援助技術(ハ) コミュニケーション方法及び療養環境の調整方法(ニ) 行動・心理症状(BPSD)、せん妄の予防と対応法(ホ) 認知症に特有な倫理的課題と意思決定支援(5) (1)の医師又は看護師は、病棟における認知症患者に対するケアの実施状況を定期的に把握し、病棟職員に対して必要な助言等を行うこと。(6) (1)の医師又は看護師を中心として、身体的拘束の実施基準や鎮静を目的とした薬物の適正使用等の内容を盛り込んだ認知症ケアに関する手順書(マニュアル)を作成し、保険医療機関内に周知し活用すること。(7) (1)の医師又は看護師を中心として、認知症患者に関わる職員に対し、少なくとも年に1回は研修や事例検討会等を実施すること。3 認知症ケア加算3の施設基準(1) 2の(3)及び(4)の施設基準を満たしていること。(2) 身体的拘束の実施基準や鎮静を目的とした薬物の適正使用等の内容を盛り込んだ認知症ケアに関する手順書(マニュアル)を作成し、保険医療機関内に周知し活用すること。(3) 2の(3)に掲げる認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受けた看護師を中心として、病棟の看護師等に対し、少なくとも年に1回は研修や事例検討会等を実施すること。4 届出に関する事項(1) 認知症ケア加算1の施設基準に係る届出は、別添7の様式40の10を用いること。(2) 認知症ケア加算2又は3の届出は、保険医療機関単位で届け出るが、その際、小児科など身体疾患を有する認知症患者が入院しない病棟及び精神病床を除いて届け出ることができること。また、施設基準に係る届出は、別添7の様式40の11を用いること。